2019年5月12日日曜日

甲州街道歩き【第12回:笹子峠→石和】(その12)

午後の甲州街道歩きがスタート。ここから山梨市に入ります。
「旧甲州街道」という道標が立っています。
あたりは果樹園ばかりです。ぶどう園がほとんどですが、ところどころで見られるモモ園では濃いピンク色をしたモモの花が満開です。
上栗原交差点です。ここが次の栗原宿の江戸方(東の出入口)です。栗原宿に入っていきます。栗原宿は、天保14(1843)に編纂された『宿村大概帳』によると、宿内町並は6(600メートル)ほど。宿内の家数は加宿である歌田村・小城村両村を含めて人口1,057人、総家数240軒。本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠20軒、人馬継立問屋が1ヶ所。江戸時代、宿場には毎月49の日に市が立ち、勝沼宿とともにこの一帯の農産物や織物などの集積地として栄えたといわれていますが、現在では宿の跡らしきものは何も残されていません。
このあたりは寺院が建ち並んでいます。手前から光善寺、大法寺、海島寺、妙善寺、大翁寺。写真は日蓮宗の寺院・大法寺です。参道口に、南無妙法蓮華経題目碑があります。
旧街道らしい緩やかなS字カーブです。こういういかにも旧街道の宿場の入口と思えるS字カーブを見ただけで往時の風景がイメージできるようになると、もう立派な旧街道マニアです。こういう微妙なS字カーブには意味がありますから (枡形をクルマの通行にあわせてなだらかにしたもの)
おやおやぁ〜、こんなのどかな田舎に首都圏で見慣れた外食チェーン店のロゴマークが…。家庭的な和定食を中心とした外食チェーン店「大戸屋グループ」の創業者・三森久実氏の生誕の地なのだそうです。この田舎では地元出身の偉大な成功者なのでしょうが、なんだかなぁ〜。
「大宮五所大社 参道」の石碑が立っています。栗原宿では宿内に往時を偲ぶものはほとんど残っていないということで、ちょっと寄り道です。
奥に見える社殿は歌舞伎造り。江戸時代の中期頃から戦陣画や願掛けに関わる風俗画が描かれた絵馬が奉納されるようになりました。また、往時、歌舞伎興行の一座はこの大宮五所大社の境内で芝居をし、評判を確認してから甲府に入ったそうです。また、村民による村芝居も演じられていました。その村芝居の様子が安永元年(1772)に奉納された絵馬に描かれているのだそうです。
これは御神木でしょうか。でっかいクロマツ(黒松)の老木です。
大宮五所大社の裏手には一面の果樹園が広がっています。手前がぶどう畑で、奥にモモの畑があります。モモ畑は桃の花が満開です。
栗原氏屋敷跡です。栗原宿の地名と同じ栗原氏は甲斐国守護職武田信成の子・武続が東郡栗原郷を領して栗原氏を称したことに始まるといわれています。武田信虎によって甲斐国内が統一される過程で栗原氏も武田氏に従い、栗原伊豆守信友、栗原左衛門佐昌清などが信虎・信玄父子に従って活躍しました。この栗原氏屋敷は大翁寺一帯に築かれていました。築城年代は定かではないようですが、応永年間(1394年~1428)に栗原武続によって築かれたといわれています。隣接する海島寺・妙善寺・大法寺などのあたりまでも屋敷跡に含まれていた可能性もあると言われています。遺構は土塁などの一部が残存しているだけとのことですが、見る限りではこれといって明確なものは分かりませんでした。大翁寺の入口に案内板が立っています。
立派な土蔵のある旧家です。
街道歩きでは、沿道の民家の庭先に植えられた草花も楽しみの1つなのですが、今の時期はそれも色とりどりで綺麗です。これは立派に手入れが行き届いた花壇です。赤や黄色のチューリップにムスカリの青紫がアクセントになっています。
いったん「大宮五所大社 参道」の石碑が立っているところまで戻り、やって来た道を直進します。国道411号線はこの「大宮五所大社 参道」の石碑の前で微妙にの字に左に曲がっているのですが、旧甲州街道は細い道を直進します。
ですが、すぐに源屋園というぶどう園(元は旅籠)に突き当たるので、直角に左折し火の見やぐらの下で国道411号線を横断します。このあたりが栗原宿の諏訪方(西の出入口)でした。なるほど、この栗原宿では江戸方、諏訪方両方の出入口に枡形の面影が道路の構造として残っているのですね。
国道411号線の沿道の家並みの裏は一面のモモ畑です。濃いピンク色をした桃の花が満開に咲き誇る中を歩きます。気持ちいいですね。前方に日川の堤防が見えています。


……(その13)に続きます。




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