2018年10月4日木曜日

江戸城外濠内濠ウォーク【第6回:新橋→竹橋】(その10)

神田橋を渡ります。神田橋は日本橋川に架かり、鎌倉橋の上流約240メートルの位置にあり、大手町1丁目から神田錦町1丁目と内神田1丁目の間に通じる橋です。かつてここに神田橋御門がありました。この神田橋御門も寛永6(1629)に東北地方の諸侯によって築かれました。神田橋御門は幅約30メートル、奥行き約25メートルという非常に大きい枡形門でした。


橋の名称は、かつてこの付近にあった神田明神に由来します。江戸城の増築により外神田に移転した神田明神跡には神田御門と土井大炊頭利位の屋敷が設けられました。慶長時代の地図には芝崎口と記載されていますが、寛永時代の地図では大炊殿橋となっています。それは橋の西南に土井大炊頭の屋敷があったためです。その後神田橋と改められました。


神田橋御門から上野広小路を通り寛永寺へと通じる道は、歴代の徳川将軍が寛永寺に参詣する際に通ることから「御成道」と呼ばれ、警備が厳重でした。現在でも、天皇皇后両陛下が車で北関東方面に向かう際にここを通ることから、「御成道」の名は残っています。


明治6(1873)、櫓門が撤去され、同17(1884)、木橋を改架、のち道路拡張と電車開通にともない改修しましたが、大正12(1923)の関東大震災で焼け落ちてしまいました。大正14(1925)1110日に長さ17.3メートル、幅34.0メートルの石及びコンクリ-ト橋に架けられました。現在の橋は昭和55(1980)に架け替えられたものですが、石灯籠を思わせる親柱と、橋のたもとには復興に尽力した太田圓三の碑が立っています。


私にとって非常に馴染みの深い建物が見えてきました。気象庁です。この気象庁の建っている敷地は、かつては徳川御三卿の1つ、一橋徳川家の屋敷があったところです。一橋徳川家は第8代将軍徳川吉宗の四男、徳川宗尹を家祖とし、徳川将軍家に後嗣がないときは御三卿の他の2(田安徳川家、清水徳川家)とともに後嗣を出す資格を有していました。家格は徳川御三家に次ぎ、石高は10万石。一橋徳川家からは第11代将軍徳川家斉、第15代将軍徳川慶喜を輩出しました。

ちなみに気象庁は2年後の2020年に虎ノ門への移転を予定しています。



気象庁の北側は日本橋川に沿って親水公園になっています。


気象庁が桜(ソメイヨシノ)の開花を発表する際に利用するのが、各地の気象台が観測する「標本木」です。東京なら靖国神社、岐阜県は清水川堤、大阪は大阪城公園内に標本木があり、シーズンになると気象庁の職員がこれを目視で観測し、5~6輪咲いていれば“開花”の宣言が出されます。東京の標本木が靖国神社の桜(ソメイヨシノ)になる前、標本木として使用していたのがこの桜の木です。この木から靖国神社の木に標本木が移った時期や経緯については、よく分かりません。


気象庁では「桜の開花」以外にも季節観測を行っています。ほとんどニュースで耳にすることはありませんが、「梅」「アジサイ」「イチョウ」「カエデ」等の開花や紅葉も発表していて、もちろん標本木も定められています。意外なところでは「ツバメ」「モンシロチョウ」の初見日、「ウグイス」「アブラゼミ」の初鳴日の観測も行っています。ここには「イロハモミジ」の紅葉の標本木があります。


錦橋を渡ります。この錦橋は日本橋川に架かる橋で、神田橋の上流約400メートルのところにあります。大手町1丁目から神田錦町3丁目に通じる道筋にあります。この錦橋は江戸時代にはなくて、関東大震災の復興橋の一つで、昭和2(1927)55日に架設されました。長さ33.75メートル、幅22.97メートルのコンクリ-ト橋です。橋の名称は錦町や旧地名の錦町河岸から付けられました。「錦」は昔近くに一色という武家屋敷が2軒あったので、二色錦と転化したのだといわれています。


錦町河岸交差点です。神田界隈の日本橋川沿いには江戸城に物資を運び込むための荷降ろし場(河岸)が何箇所もあったのですが、ここにもその1つ錦町河岸がありました。


石垣は積み方によって野面積(のづらづみ)、打込接(うちこみはぎ)、切込接(きりこみはぎ)の3つに大別されます。接(はぎ)とは石と石との接合のことで、積み石の接合部分を削って、接合部の面積を増やすことです。この錦町河岸の付近には野面積の石垣が今も残っています。この野面積は自然石を削るなどの加工を行わず、そのまま積む方法です。したがって、表面もゴツゴツしていて、実にワイルドです。さらに野面積の中でも、様々な大きさの石を組み合わせた場合は野面乱積(らんづみ)、ほぼ大きさの揃った石を横に積み上げた場合は野面布積(ぬのづみ)といって、細分化されます。このあたりの石垣は野面布積ですね。


日本橋川や隅田川の橋を巡る「日本橋周遊クルーズ」という遊覧船があるそうです。日本橋川に架かるそれぞれの橋にまつわるストーリーなど、ガイドが細やかに解説してくれるそうなので、一度乗ってみたいと思っています。


……(その11)に続きます。

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